アジアの市民社会研究プロジェクト
  

 近年、韓国、タイ、フィリピン、中国などアジア諸国においてNPONGOを中心とする市民社会セクターが台頭し、それぞれの社会の中での存在感を大きくしています。

 OSIPPでは、CSOネットワーク(黒田かをり・今田克司代表)と共同で、アジアの市民社会研究プロジェクトをたちあげ、アジアの市民社会の発展経緯、グローバリゼーションの中での地域特有性と外部からの影響などを調査することとしました。現在、以下のとおり、ベトナムとタイの市民社会について調査に着手しています。今後は、調査対象国を広げるとともに、日本の市民社会についての情報を海外に発信することにも力を入れたいと考えています。

1)タイの市民社会

 タイでは、経済開発が進む一方で、地域格差が広がっており、特に北部地域や東北地域では、貧困とそれに関連する様々な社会的問題が深刻化しています。そこで、20048月に、NAPジャパン(神谷祐介代表)の協力を得て、タイ北部のチェンマイとパヤオ県においてフィールド調査を行いました。



お菓子作りを学ぶ子供たち−タイ北部のパヤオ県で
チェンマイ市内にあるエイズ感染者のためのシェルター



 パヤオ県では、貧困→農村から都市への出稼ぎ→都市での
HIV感染→帰農という貧困の悪循環を断ち切り、ポジティヴな連鎖に変えるために、女性や子供が中心となった起業や社会参加が行われていました。また、チェンマイ大学では、社会科学部長や副学長と面談し、市民社会研究に関する日タイ共同研究の可能性について協議を行いました。



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2)ベトナムの市民社会

 一方、社会主義国のベトナムにおいても、近年、民間企業セクターの発展と共に、シビル・ソサエティが萌芽しています。そこで、ここ数年、急激に発展し、民間セクターの強化や推進に大きく寄与している経済団体(Business Associations)や、変化する社会的なニーズに応えるべく社会サービスの提供などさまざまな取り組みをしている民間非営利組織の現状と課題を研究すると同時に、20037月に発令された市民活動を行う非営利団体の組織や運営などに関するアソシエーション法令「Decree 88: Regulation on the Organization, Operation and Management of Associationsなど民間非営利団体を取り巻く法的環境についても調査を行いたいと考えています。