日本社会関係学会 

ソーシャル・キャピタル研究会(2021年5月1日(土) 19時~オンライン開催)
『ソーシャル・キャピタルからみた人間関係ー社会関係資本の光と影』発表会+交流会のご案内 *このイベントは終了しました

稲葉陽二会長より

社会関係学会会員の先生方と3月25日に日本評論社より11名の共著『ソーシャル・キャピタルからみた人間関係ー社会関係資本の光と影』を上梓いたしました。 内容の概要の発表会をZoomにて5月1日(土)19時より開催いたします。前半、説明会、後半は日頃SC研究会にご参加いただいている皆様との交流会とさせていただきます。参加ご希望の方は、以下のGoogle Formに参加登録していただければ幸いです。4月30日に招待URLをお送りします。なお、5月27日のSC研究会は別途ご案内させていただきます。

 日時:令和3年5月1日(土)19:00~

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeRcMI3ntgkH0QUic7raEV8wTmg6p2k_ziu1NndoFmdmE5d1w/viewform


本当は『社会関係資本を測る』という純粋な学術書で3年前に企画したのですが、生存科学研究所の出版助成をいただき、著者も全員印税放棄しているにも拘わらず、日本評論社よりもっと売れる形にしてくれと言われ中級の教科書兼研究書兼実践報告的な摩訶不思議なものになったのですが、5年前から書いていた社会関係資本の2面性をテーマに四六判の一般書に落ち着きました。
気楽な読み物の体裁をとっておりますが、小生の部分は研究者の文章ですので結局理屈ぽくなっております。


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概要(「おわりに」の小生の文章です)は以下のとおりです。

「本書のテーマは社会関係資本の光と影、つまり2面性であった。社会関係資本の重要な構成要素であるネットワークには、2面性があり、同じネットワークが光を発するときもあるが、影を形成することもある。光と影の切り替えは、社会関係資本の残りの2つの要素、規範と信頼が影響している。両者は長期的には教育により形成され、格差によって歪められる。コロナ禍で行動変容が求められるが、規範と信頼があればより容易に達成されるが、そうならないのは政治家が信頼と規範を壊しているからだ。

 本書のテーマ、社会関係資本の2面性の理解が、「生きづらさ」の軽減に役立つという視点は、本書の共著者の体験に基づいている。我々は様々な社会関係資本の中に身をおいている。社会関係資本は常に光と影の両面があり、なかなか自分の思い通りにいかない。しかし、だからといってそれを全部個人で背負い込むことは本来おかしい。なぜなら、責任のかなりの部分は、社会の理不尽、現場の理不尽に起因することは、社会関係資本を分析してみれば明らかだ。「生きづらさ」が社会の理不尽と現場の理不尽によるのはコロナ禍で一層明らかになっており、我々はその理不尽を取り除くように制度を変えなければならない。本書では紙幅の関係で、詳述していないが、具体的には高等教育の無料化を含むユニヴァーサルエジュケーションと格差是正のための所得再分配策を提唱している。」


目次は以下のとおりで、小生を含めた11名の共著です。

第1部 概論
第1章 ソーシャル・キャピタルとは何かーー定義と有用性……稲葉陽二
第2章 ソーシャル・キャピタルの二面性を意識しつつ社会という箱のなかで自分の居場所を見極
    める……稲葉陽二
第3章 ソーシャル・キャピタルの「豊かさ」とはーー強い紐帯と弱い紐帯のバランス、信頼の範
    囲……小藪明生先生
第4章 社会ネットワークと社会的伝染ーーソーシャル・キャピタルの構造的側面
    ……高木大資先生

第2部 各論
第5章 地域参加を増進するにはーー地域活動における男性の不利と女性の不利とを考える
    ……小山弘美先生
第6章 風通しのよい自治会運営は橋渡し型社会関係資本を構築することによって可能か
    ……戸川和成先生
第7章 行政と住民はなぜ距離があるのかーー被災地やその他の事例、ソーシャ ル・キャピタルを
    操作する……須田光郎先生
第8章 橋渡し型ソーシャル・キャピタルと結束型ソーシャル・キャピタルはどう創られるのか
    ーー田野畑村での岩見ヒサさんの活動……小林ひとみ先生
第9章 韓国における農村・漁村地域の経済活性化ーーソーシャル・キャピタルの 連鎖による価値
    創造モデル……朴 珎怜先生
第10章 企業不祥事はなぜおこるのかーーソーシャル・キャピタルの視点から見た現場と社会にお
    ける理不尽……稲葉陽二
第11章 “遠慮がちな”ソーシャル・キャピタル再訪ーー長野県須坂市の保健補導員制度を例に
    ……今村晴彦先生
第12章 親子を取り巻くつながりは生きる力を高めることができるのかーー家庭内 外ソーシャル・
    キャピタルの光と影……露口健司先生
第13章 ソーシャル・キャピタルの世代間継承ーー時間・空間・歴史も踏まえた概念であるソー
    シャル・キャピタルをうまく利用して心地よく生きる……要藤正任先生


日本評論社刊  https://www.nippyo.co.jp/shop/book/8518.html





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